バラク・オバマ候補の主要アドバイザーの顔ぶれ
Foreign Policy Brain Trusts: Obama's Advisers
――By Joanna Klonsky (Campaign 2008 Staff, www.cfr.org)
バラク・オバマ候補の主要アドバイザーの顔ぶれ
民主党の大統領予備選に出馬しているバラク・オバマ候補は、自分が大統領になれば、アメリカの国益を促進するために、多国間主義を重視し、外交をもっと積極的に展開していくと主張している。彼は、「政権発足後の早い段階でイラク戦争の終結に向けた措置をとり、イランやキューバなどの敵対国の指導者と交渉し、労働者を守り、環境を保護するためにアメリカの自由貿易路線を改革していく」と公約している。
オバマ候補のアドバイザーを務めている外交専門家の多くは、クリントン政権に参画した人物たちだ。ヒラリー・クリントンを含む民主党の議員の多くが2003年当時はイラク戦争を支持したのに対して、オバマおよびオバマのアドバイザーの多くは戦争への反対を当時から表明している。アドバイザーの多くは、「友人に対してだけでなく、(イラクやキューバのような)敵にも話しかけるべきだ」とするオバマの信条を支持している人物が多い。
国家安全保障担当顧問の顔ぶれ
アフガニスタンにおけるタリバーン勢力との戦いに勝利を収めることを重視しているオバマは、「アルカイダがアメリカへの攻撃を計画しているとの有力な情報があれば、パキスタン政府の許可のあるなしにかかわらず、テロ分子をパキスタンに攻め入って追跡・掃討する」と明言している。オバマのおもな国家安全保障アドバイザーには、デニス・マクドナフ、リチャード・ダンジグ、ジョナサン・スコット・グレーション、サム・ナン、ウィリアム・ペリー、サラ・セウォールなどがいる。
デニス・マクドナフはアメリカ進歩センター(CAP)のシニア・フェローで、オバマ候補の選挙キャンペーンで国家安全保障問題への対応を取り仕切っている。トム・ダシュル元民主党上院院内総務の外交政策顧問を務めたマクドナフは、エネルギーおよび環境政策をめぐっても明確な立場を示してきたことで知られる。2007年6月には、「主要8カ国(G8)はもっと本腰を入れて地球温暖化対策をとるべきだし、先進国による現在の開発援助のレベルでは、途上国の地球温暖化対策を助けることにはならない」と述べている。アメリカは「国内のクリーンエネルギー産業を促進することにより力を注ぐべきだ」とも発言してきた。2007年5月に行われたブルッキングス研究所の研究会で、マクドナフは、アメリカは温室効果ガスの排出を大きく削減する排出権取引システムの導入をめぐって「後れをとっている」と述べ、2050年までに1990年水準の80%以上の排出削減の目標を掲げるべきだと主張している。
イラク政策については、2008年3月の同研究所の研究会で、「アメリカは財政赤字削減と現在の経済危機解決のためにも、イラクからの米軍撤退について明確な期限を示すべきだ」と語っている。撤退の最終期限を設定すれば、「政治的和解が切実に必要である」というメッセージをイラク各派の政治指導者たちに送ることになる、と。
クリントン政権で海軍長官を務めたリチャード・ダンジグは、現在、戦略国際問題研究所(CSIS)の国際安全保障担当フェローで、バイオテロの専門家として国防総省顧問を務めている。
米軍ジャーナル誌が主催した2007年のラウンドテーブルで、ダンジグはアメリカの安全保障戦略の目的は、アメリカと同盟国が「共有する利益と価値を自由に模索できるようにし、世界の紛争を減らし、紛争から(国内外の)アメリカ市民を守ることにある」と述べ、アメリカの防衛戦略を「特定のシナリオ、特定の紛争タイプ、特定の部隊編成に過度に偏ったものにしてはならない」と警告している。
生物兵器に関する国防総省顧問として、ダンジグは生物兵器テロを含むさまざまな攻撃シナリオを指摘しており、2004年に「テロ集団が生物兵器の生産に成功する危険はますます高まっている」と警告している。同氏は「幅広いスキルを持った人物が一定レベルの実験設備へのアクセスを持てば、数カ月から数年で生物兵器を開発できる可能性が高い」とワシントン・ポスト紙に語っており、「テロリストによる兵器開発の成否を分ける非常に薄い壁によってわれわれは守られているにすぎない」と指摘している。
ジョナサン・スコット・グレーションは退役空軍少将で、ミレニアム・ビレッジ(アフリカの村落を貧困から抜け出させることを目的とする国連ミレニアム開発目標に基づくプロジェクト)の責任者を務めている。グレーションはスワヒリ語を話し、幼少期の多くをコンゴで過ごしている。
ドイツに駐留する米欧州軍の戦略・政策・分析のディレクターを務めた同氏は、1991年の湾岸戦争を戦った経験を評価されて、2003年のアメリカのイラク侵攻の際にはイラク自由作戦の「タスクフォース・ウエスト」の司令官を務めている。2007年8月にはニューヨーク・サン紙に「マリキ政権による国民和解プロセスが大きな進展をみせ、イラク情勢が変化していることが誰の目にも明らかになれば、撤退策を再調整すべきだ」とコメントしたが、基本的にイラクからの実戦部隊の撤退というオバマの路線を支持している。後に、ニューヨーク・サン紙へのコメントは、オバマ候補の選挙キャンペーンに即した発言ではなかったと弁明している。
グレーションは、アメリカが切実な脅威にさらされている状況下では、アルカイダ分子をパキスタンの聖域に攻め入ってでも攻撃することも辞さないというオバマの考えを支援すると表明し、彼自身、2007年8月にニューズウィーク誌に対して「それがいかなる場所であれ、テロ計画を準備している地域に介入してテロ分子を粉砕する必要がある」とコメントしている。同氏は核削減にも前向きで、アメリカと世界の核の削減を求めている。
サム・ナンは元ジョージア州選出の民主党上院議員で、ナン=ルーガー・プログラムに代表される核兵器の脅威削減に向けた取り組みをめぐってリーダーシップを発揮したことで知られる。現在は核兵器、生物兵器、化学兵器の脅威を削減するための民間組織「核の脅威削減イニシアチブ(NTI)」の共同議長を務めている。
1991年のナン=ルーガー法(協調的脅威削減プログラム=CTR)は旧ソビエト地域における核の解体を目的としていたが、いまやすべての大量破壊兵器の脅威削減へと対象が広げられている。
24年間に及んだ上院議員時代の8年間にわたって、ナンは上院軍事委員会の委員長を務めている。1991年の湾岸戦争の際には反対票を投じ、ブッシュ政権の「テロとの戦い」にも批判的な立場を示している。民主党の良識派として広く尊敬されている。
ウィリアム・ペリーは、現在フーバー研究所のシニア・フェローでスタンフォード大学の教授も兼務している。1994~1997年のクリントン政権の国防長官時代には、ハイチの軍事政権に圧力をかけ、選挙で選ばれたアリスティド大統領を復権させようと試みた米軍のハイチ侵攻、ボスニア紛争への米軍(NATO)介入の指揮をとっている。「予防防衛」戦略の導入を求めていることでも知られ、ハーバード、スタンフォード大学による予防防衛共同プロジェクトの議長を務めている。
イラク戦争に批判的だったペリーは、2006年に79項目にわたるイラク情勢の改善策を提言したイラク研究グループ(ISG)のメンバーとして、「イラク問題は軍事的には解決できない」とコメントし、「2008年初頭までに米軍をイラクから完全撤退させること」を求めた。国防長官、そして特使として北朝鮮の核問題、ミサイル問題をめぐる交渉に深く関与した同氏は、交渉路線に当初否定的だったブッシュ政権の北朝鮮政策には批判的だった。2008年5月にワシントンポスト紙に寄せた論説記事では「ブッシュ政権は、平壌からプルトニウム生産停止の合意をとりつけ、北朝鮮の核生産能力を制限することに焦点を合わせるべきだ」と主張している。
現在、ハーバード大学ケネディースクールの講師で、同大学付属カー人権政策センターのディレクターを務めるサラ・セウォールは、クリントン政権でPKOと人道支援担当国防副次官補を経験し、(現在、イラク駐留米軍の最高司令官を務める)デビッド・ペトレイアスとともに陸軍と海兵隊のために対ゲリラ戦の実戦手引をまとめている。ワシントン・ポスト紙に寄せた論説記事で、セウォールは、対ゲリラ戦の部隊が、相手国の民衆と一体化することを重視し、「兵士がより大きな物理的リスクを引き受けることを前提にした」と書いている。
だが同氏はブッシュ政権の増派策の成果を疑問視している。「米軍、同盟軍およびイラクの治安部隊の活動能力が十分ではないし、イラクの政治および経済改革の促進に向けた応分の試みがなされていないうえに、イラクの政治指導者たちは腐敗しており無責任すぎる」と批判している。セウォールは2007年のフォーリン・サービス・ジャーナル誌で発表した論文で、国家建設活動をめぐる文民と軍隊の責任を明確に線引きするドクトリンを発表している。
外交政策顧問
オバマの外交政策アドバイザーの中には、クリントン政権で国家安全保障問題担当大統領補佐官を務めたアンソニー・レイク、著名な弁護士で、クリントン政権で国務省政策企画局長を務めたグレゴリー・B・クレイグ、アフリカ地域の専門家で、同じくクリントン政権の国務次官補を務めたスーザン・E・ライス、国務長官を務めたマドレーン・オルブライトがいる。オバマ同様にこれらのアドバイザーたちも、ブッシュ大統領のイラクおよびアフガニスタン、ダルフール、そしてラテンアメリカ路線を批判している。
グレゴリー・B・クレイグはクリントン政権下のホワイトハウスの補佐官の一人で、マドレーン・オルブライト長官率いる国務省で政策企画局長を務め、現在はワシントンに拠点を置くウィリアムズ・アンド・コノリー法律事務所のパートナー。クリントン大統領に対する弾劾裁判での弁護チームの主要な役割を担った。1984年から1988年までは、エドワード・ケネディー上院議員(マサチューセッツ州選出)の防衛、外交、国家安全保障問題のシニア・アドバイザーを務めている。
2008年3月にクレイグは、「ブッシュ政権がラテンアメリカでの選挙の特定候補に肩入れしてきた結果、この地域でのアメリカへの信頼と人気は失墜した」と現政権を批判している。
アンソニー・レイクはクリントン政権の国家安全保障問題担当大統領補佐官で、現在はジョージタウン大学の外交大学院教授。レイクは、クリントン政権で、ボスニアやソマリアでの紛争など、大きな外交危機に対応した経験を持っており、アメリカ国内で撤退要求の声が強くなった後も、ソマリアでの米軍のプレゼンスを維持すべきだと主張したことで知られる。
公共放送PBSのフロントラインのインタビューの中で、「もしわれわれがソマリアから即座に背を向けていれば、世界中で似たような悲劇が誘発されていたはずだ」と最近も発言している。
スーダンのダルフール危機についても、2006年にレイクは(スーザン・E・ライスとともに)、アメリカは「スーダンに対する最後通牒となる国連安保理決議、つまり、1週間以内に無条件で国連軍の展開を受け入れなければ、大きな軍事的帰結に直面するという内容の決議を採択すること」を求めている。さらにレイクとライスはワシントン・ポスト紙に寄せた連名の論説記事で、「アメリカは1999年にも国連の承認を求めずに、コソボの人道危機に介入している」と指摘し、「アメリカは国連の承認を取り付けられなくても、ダルフールに介入できる」と論じている。
レイクもイラク戦争には批判的だ。2007年1月にボストン・グローブ紙の論説記事で、戦争を推し進めたワシントンの文民指導者たちは「軍事的手段では他国の政治問題に対処し、内部の亀裂を解決できないことを理解していなかった」と指摘し、占領後に実施した政治、経済、社会プログラムについても、イラク側の腐敗、依存、そして反発を招き入れてしまったと批判している。また、北大西洋条約機構(NATO)については、ヨーロッパの東方へと安定を広げていくうえでNATOおよびNATOの拡大策はアメリカの戦略利益に合致するとコメントしている。
現在、ブルッキングス研究所の外交政策、グローバルエコノミー・開発担当のシニア・フェローを務めるスーザン・E・ライスは、クリントン政権でアフリカ問題担当国務次官補を務めている。イラク戦争に批判的なライスは、2007年9月に、増派策についても「イラク各派の政治的立場を埋めるために必要な安定をつくりだすとしたブッシュ政権が掲げた目的に進展が見られない」と批判している。
ダルフール危機については、レイク同様にアメリカはより強硬な路線をとるべきだとライスは主張し、より厳格な経済制裁措置をとり、米議会はダルフール危機を終わらせるために軍事力の行使を認めるべきだという内容の政策提案をまとめている。ライスは2005年にも、アメリカ、NATO、アフリカ連合(AU)は「大量殺戮の脅威にさらされ、民衆を保護する能力も意思も持たない政府のもとに置かれている無実の市民を守るための『保護する責任』を重視する国際規範を発動すべきだ」と述べている。
またライスは「グローバルな貧困」対策をアメリカの国家安全保障の要素に組み込むことも求めている。2006年にナショナル・インタレスト誌で発表した論文で、貧困は紛争のリスクを増幅させるだけでなく、貧困国が感染症を発見し、封じ込められずにいるのも貧困問題が背景にあると述べている。国連ミレニアム開発プロジェクトの目標の一つに設定されているように、ブッシュ政権は、2015年までに外国への開発援助をアメリカの国内総生産(GDP)の0・7%にまで増加すべきだとライスは主張している。
マドレーン・オルブライトは、クリントン政権で米国連大使、国務長官を務め、コソボ紛争、イラク封じ込め、北朝鮮との核交渉、イスラエル・パレスチナ間の中東和平合意の仲介を始めとする数多くの外交案件を手がけた。コソボ紛争への同氏のアプローチからも明らかなように、アメリカの国益と人道的悲劇を回避するためなら強硬路線をとることも辞さないタカ派的な側面も持っている。
2003年にフォーリン・アフェアーズ誌に寄せた論文では、オルブライトはイラク戦争を正当化するブッシュ政権の主張は国際社会ではほとんど受け入れられなかったと指摘しつも、大量破壊兵器の査察を求める国連決議の受け入れをイラクが10年以上にわたって拒絶してきた以上、個人的には「イラク戦争は正当化できると思う」とブッシュ政権の路線に一定の理解を示している。
だがオルブライトは、ブッシュ政権のもとでアメリカの道徳的権威は失墜しており、アメリカのパワーの道義的権威を再生することが新大統領の課題の一つになると述べている。
オルブライトは民主化促進策を支持しており、民主的価値を共有する国家をメンバーとする「民主国家共同体」の創設にも大きな役割を果たした。国務長官退任後は、米外交問題評議会(CFR)で、民主主義に対する脅威、アラブ諸国の民主化に関するタスクフォースの共同議長を務めている。
国際経済顧問
米経済が混乱するなか、オバマは中産階級を対象とする減税策、労働者の権利と環境を保護するための「公正な貿易」路線、クリーンエネルギー部門での新規雇用創出などのアジェンダを中核に掲げている。おもな国際経済のアドバイザーには、ジェーソン・ファーマン、オースタン・グールスビー、ウィリアム・M・ダレイ、ダニエル・K・タルーロなどがいる。
ブルッキングス研究書の経済担当シニア・フェロー、ジェーソン・ファーマンは、2008年6月にオバマの選挙対策チームにおける経済政策担当のディレクターとなった。同氏はクリントン政権で、経済政策担当大統領特別補佐官、大統領経済諮問会議のスタッフ・エコノミストを務めている。2004年の大統領選挙でもジョン・ケリー民主党候補の選挙対策チームの経済政策担当ディレクターを務めている。ファーマンはロバート・ルービン元財務長官と近いことでも知られている。
2004年にファーマンは、ブッシュ政権の貿易政策を次のように批判している。「経済的に重要でない諸国との自由貿易合意を模索した結果、ブッシュ大統領はアメリカの労働基準と環境基準を劣化させただけでなく、貿易によって行き場を失った米労働者への対策を怠った」。
2007年に同氏はニューヨークタイムズ紙のインタビューで「自由貿易に関してわれわれがとるべき最善の策とは、社会保障を強化するような国内政策に焦点を合わせることだ」と述べている。この観点から、同氏は「失業者に医療保険を提供し、解雇されるか、低い賃金の受け入れを強制された労働者には、それまでの賃金水準を(一定期間)保証すべきだ」と提案している。ファーマンは税制、財政政策、医療保険改革について多くの論文を発表しており、とくに国民皆保険制度の導入を強く求めている。
オースタン・グールスビーはシカゴ大学の経済学教授でアメリカ法曹協会のシニア・リサーチ・フェロー、全米経済研究所のリサーチ・アソシエイトを務めている。
自由貿易論者のグールスビーは、ブッシュ政権は貿易合意のルールを徹底できずにおり、世界貿易機関(WTO)への提訴に消極的だと批判している。また、減税策をめぐっても、2007年4月の進歩政策研究所の政策リポートで、「富裕層を対象とするブッシュ政権の減税策は政策的に間違っている」と指摘し、2008年4月には、ニューヨーク・タイムズ紙で「富裕層を対象とする減税をやめ、歳出を削減すれば、オバマ上院議員が提案しているすべての経済政策を十分に実施できる財的基盤を確保できる」と述べている。
グールスビーは、財務省証券を外国政府が購入し、それで経常赤字をまかなうという現在のやり方は、「アメリカの地政学的立場を危機にさらす恐れがある」と指摘している。オバマ候補同様に、グールスビーは、中国が大規模な米財務省証券を保有していることを懸念していると述べている。
2008年3月、オバマの北米自由貿易協定(NAFTA)に対する批判的立場をめぐって、グールスビーが駐シカゴのカナダ総領事と協議したことは大きな注目を集めた。オバマは選挙キャンペーンでNAFTAを再交渉する必要があると再三表明しているが、グールスビーはカナダの高官たちに「オバマは実際にはNAFTAの再交渉を行うつもりはない」と確約したと当初報じられた。オバマ陣営は、この報道内容を否定している。
ウィリアム・M・ダレイは、クリントン政権でNAFTAのタスクフォース議長を務め、貿易協定が締結された数年後の1997年にクリントン政権の商務長官に就任した。オバマはNAFTAを痛烈に批判し、自分が大統領になれば、協定内容を再交渉すると公約しているが、ダレイは依然としてNAFTAを支持し、NAFTAに関してはオバマと「異なる意見」を持っていると公言し、「公約を守るのは難しいだろう」とさえ述べている。「政治問題だから、協定の再交渉に応じてほしいと言っても、メキシコ側がこれを受け入れるだろうか」とシカゴ・トリビューン紙に語っている。
2000年にアル・ゴア前副大統領の大統領選挙戦のキャンペーン委員長を務め、現在、JPモルガン・チェースで「企業の社会的責任」(CSR)担当の役員を務めているグレイは環境問題にも熱心で、同社は「温室効果ガスの排出削減に努めるとともに、より環境にやさしいシステムへの改善を試みている」と語っている(クレイン・シカゴ・ビジネス誌)。
現在、ジョージタウン大学ローセンター教授で、国際的経済規制、国際法、銀行法を教えているダニエル・K・タルーロは、CAPのシニア・フェローでもある。クリントン政権で、経済・ビジネス担当国務次官補、経済政策担当大統領副補佐官、国際経済政策担当大統領補佐官を歴任した政策通だ。
オバマはNAFTAだけでなく、中米自由貿易協定(CAFTA)にも批判的だが、タルーロもCAFTAについては「大きな欠陥を抱えている」と批判しており、同協定で「南米の開発アジェンダを促進する可能性は乏しく、貿易からの利益をより広範囲に行きわたらせることもない」と述べている。米外交問題評議会(CFR)でのワールド・エコノミック・アップデートの司会者として、世界経済の分析を定期的に発信している。●
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