2009年11月26日木曜日

対スーダン政策 米『アメとムチ』に転換

対スーダン政策 米『アメとムチ』に転換
2009年11月25日 朝刊

 米国がブッシュ前政権下のスーダンに対する孤立化政策を見直し、「アメとムチ」の「関与」を進めている。同国西部のダルフール紛争での大量虐殺をめぐって国際刑事裁判所がバシル大統領に逮捕状を出すなど、国際社会が圧力を強める中での路線転換。オバマ大統領は先の訪中で、スーダン政府と関係の深い中国に強硬な姿勢を示さなかった。北朝鮮やイランの核問題では難航する「対話路線」だが、対スーダン外交で活路を見いだせるのだろうか。 (ワシントン・嶋田昭浩)

 「石油・ガス開発での協力は政治・経済・文化面での結び付きを促進するだけでなく、両国民に利益をもたらす」。スーダンを訪問した中国共産党の周永康・政治局常務委員は今月十七日、ハルツームで両国関係の緊密さを強調。周常務委員とスーダンのタハ副大統領立ち会いのもと、中国国有「中国石油天然ガス集団」とスーダン政府が、石油精製合弁事業をさらに拡大する合意文書に調印した。

 この日、北京では、アジア歴訪中のオバマ米大統領と胡錦濤中国国家主席が会談。大統領は、報道陣を前にチベット問題にはわずかに言及したが、経済面での米中関係を配慮してか、中国による武器供与問題が指摘されるスーダンについては一切、触れなかった。

 昨年の大統領選挙期間中、オバマ氏はスーダンに対し制裁強化も含めた強硬措置をとると表明。ダルフール問題を理由に北京五輪開会式をボイコットするよう当時のブッシュ大統領に求めていただけに、今回は手のひらを返したような対応だ。

 関与政策は先月十九日、クリントン国務長官らが発表した。「対話」を交えることによる和平進展が目的とされた。しかし、大量虐殺をめぐる法律問題の専門家ジェリー・ファウラー氏は「大統領は公の場で沈黙し、スーダン和平を主導するつもりがないと関係国に思わせてしまった」と指摘する。

 同氏は「新戦略は他国との協調なしには機能しない」と断言。対スーダン投資が膨大な中国と、スーダン原油の精製を手がける日本への訪問を「最初のテスト」と位置づけ、日中首脳をどう新方針に巻き込んでいくか、注目していたという。

 では、大統領はなぜ、強硬措置の公約を修正したのだろうか。

 「第一にダルフールの現地情勢の変化」とするのはスーダン問題に詳しい米コロンビア大のマフムード・マムダニ教授。「国連・アフリカ連合(AU)合同の平和維持活動(PKO)部隊司令官らが認めているのは、二〇〇五年以来、ダルフールでの一般市民の死者数が急激に減少したことだ。(西部の)ダルフール紛争はもはや非常事態とみなされなくなった」という。

 むしろ、状況が悪化しているのは南部だと指摘。「米国のスーダン政策はダルフールにとらわれ過ぎだった。『大量虐殺』という言葉に引っ張られたイデオロギー政策から、利益で誘導する柔軟なギブ・アンド・テーク型政策への転換である。南北の内戦は死者も多く、人種間の殺害という性格が強いが、『大量虐殺』とはみなされず、(当事者間の)交渉が可能だ」と、新方針に一定の期待をかける。

 一方、ファウラー氏は関与政策に関連し、「スーダンへのいかなる債務免除も、実のある政治的変化を条件にしてほしい」と日本などに求めている。

 <スーダン問題> アフリカ大陸で最大の国土を持つスーダンでは、1983年に当時のヌメイリ大統領がイスラム法を導入。首都ハルツームを含む北部に対し、南部のキリスト教徒の黒人民族などが反発し、南北内戦が続いた。89年に無血クーデターで政権を握ったバシル大統領もイスラム化を推進。2003年、アラブ系の中央政府に対し、西部ダルフール地方の黒人住民らが武装闘争を始め紛争に陥った。


http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2009112502000106.html

2009年9月28日月曜日

中東和平交渉 粘り強く入植凍結迫れ

中東和平交渉 粘り強く入植凍結迫れ
2009年9月25日

 国連人権理事会が先のイスラエル軍のパレスチナ自治区ガザ攻撃を「戦争犯罪」とし、国際刑事裁判所への付託を求めたいとする見解を出した。停滞する中東和平の推進材料の一つにしたい。

 問題とされたガザ紛争は、昨年暮れから三週間で、千三百人ものパレスチナ人が死亡、イスラエルの死者は兵士含めわずか十三人とされ、世界から非難が集中した。

 国連人権理事会の見解は、特にイスラエル軍が住民約百人に銃を突きつけて、一軒の家に集めて砲撃、子供を含む三十人が死亡したのは「明らかに市民に向けられた」とし、「国際人道法に違反した戦争犯罪」と指摘。人体に触れると高温で燃え続け、死に至らせる白リン弾については「市街地で無差別に使用した」とした。

 イスラエルはガザからのロケット弾攻撃に対する防衛を攻撃理由としてきた。人権理事会は、ガザを支配するイスラム原理主義組織ハマスによる、この継続的攻撃についてもイスラエル同様「戦争犯罪」に当たると非難した。

 イスラエルの攻撃については、安保理に対しイスラエルに責任者の訴追を求め、応じなければ安保理として国際刑事裁判所(ICC)の検察官に付託すべきだと言及した。これは異例の厳しさであり、それほど非人道的な攻撃行為だったと解釈すべきだろう。

 ICCは、スーダンのバシル大統領にダルフール紛争をめぐり逮捕状を出したことがある。効力は疑問視されもするが、中東紛争でイスラエル側に訴追の可能性が向けられた意味は小さくない。

 中東和平では、二〇〇三年にロードマップ(行程表)ができたが、米国のテロとの戦いに便乗したかのようなシャロン元イスラエル首相の強硬姿勢で頓挫。ガザ紛争後に右派のネタニヤフ政権が誕生、交渉の糸口すら消えたため「二国家共存」を掲げたオバマ米政権の仲介に期待が集まっていた。

 ただパレスチナ側が交渉再開の条件として、将来の「領土」と願うヨルダン川西岸での入植活動の全面凍結を挙げているのに対し、イスラエルは住宅二千五百戸の建設続行、東エルサレムでの建設も強行しようとしている。

 オバマ大統領は、ネタニヤフ首相、アッバス自治政府議長との初の三者会談を実現させたが、イスラエルの譲歩は引き出せなかった。入植凍結は容易にはのませ難い。だが今回の国連側指摘も追い風に譲歩を迫り続けてほしい。
http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2009092502000041.html

2009年8月24日月曜日

ダルフール問題をユニークな視点で描いた意欲作「シング・フォー・ダルフール」ブックマーク:

ダルフール問題をユニークな視点で描いた意欲作「シング・フォー・ダルフール」ブックマーク:


8月21日 更新 11:29
ダルフール紛争をスタイリッシュに描く
[拡大画像][eiga.com 映画ニュース] 多くのアーティストから楽曲の提供を受け、非営利で製作されたオランダの意欲作「シング・フォー・ダルフール」のレセプション・パーティが、8月20日、東京・神谷町のオランダ王国大使公邸にて行われ、ゲストとしてデザイナーのワダ・エミ、鈴木杏、LiLiCoらが登場した。

映画は、国際問題となっているスーダンのダルフール紛争ためのチャリティイベント「Sing for Darfur」が行われるスペイン・バルセロナを舞台に、世界情勢とは無縁に暮らす人々の視点で、とある1日が展開する。監督はオランダの新鋭ヨハン・クレイマー。

鈴木は、「恥ずかしながら映画を見るまでダルフールのことを知らなかったのですが、人はどこで繋がっていくか分からないと改めて感じられる素敵な映画です」と挨拶。スウェーデン出身のLiLiCoは「スウェーデン人として初めてオランダ大使館に入りましたが、スェーデン大使館より豪華なので驚きました! 思いやりを込めて、この映画をいろいろなところで応援していきたいと思います」と話した。

また当日は、日本のトップアーティストのサウンドプロデュースを数多く手がけるブレンダ・ボーンらが登場し、映画の冒頭で子供が歌うダルフールの歌へのアンサーソングとして、「Touch The Sky」を披露した。ボーンは、「この曲を通じて、映画のようにたくさんの人々に愛を広げていきたいです」と話し、会場を盛り上げた。

「シング・フォー・ダルフール」は9月19日よりシアターN渋谷にて公開され、その後渋谷の映画館をリレー上映する予定。


http://eiga.com/buzz/20090821/3

2009年7月19日日曜日

民主化求める声アフリカ席巻、オバマ大統領演説効果

民主化求める声アフリカ席巻、オバマ大統領演説効果
2009年07月14日 20:23 発信地:ヨハネスブルク/南アフリカ

【7月14日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は訪問先のガーナで、「汚職で私腹を肥やす専制的な政治指導者」を非難したが、この言葉はアフリカ全土を揺るがし、13日にはナイジェリアからジンバブエまでの各国で、より良いガバナンス(統治)を求める声の大合唱となった。

 オバマ大統領は11日にガーナの首都アクラ(Accra)を日帰りで訪問し、熱狂的な歓迎を受けた。大統領は演説で、人民に対し、自分たちの未来を託せる強い政府を求めるよう呼びかけた。

 カメルーンのドゥアラ大学(University of Douala)のGuy Parfait Songue教授(政治科学)は、「(オバマ氏の演説は)アフリカを5世紀にわたり麻痺させてきた機能不全に対する宣戦布告のようだった」と振り返る。

■ケニアを暗に制裁?

 オバマ大統領がサハラ以南の初の訪問先にケニアではなくガーナを選んだことは、父親の故郷でもあるケニアで前年に大統領選挙の結果をめぐり暴力が吹き荒れた事実に再び目を向けさせることになった。ケニアの英字紙デーリー・ネーション(Daily Nation)には次のような投稿が寄せられている。「オバマは、改革が遅々として進まず汚職対策にも消極的なケニア政府を『罰している』のではないだろうか」

 オバマ大統領は、対アフリカの投資や貿易を拡大するかは、その国の政府の健全度で判断するとも述べた。 

 ガーナの民主的ガバナンスを求める団体の代表、Emmanuel Akwetey氏は、「彼は、アフリカとのパートナーシップを相互尊重に基づいて築くという重要で前例のない宣言を行った。この考え方のもとでは、アフリカ各国は自分たちの運命を自分たちの手で築くことが求められる」と話す。

「オバマは、アフリカに対し、発展途上を植民地主義のせいにすることなく、発展途上という事実を認めるよう求めた。オバマはアフリカに挑戦状を叩きつけたのであり、われわれはこれを真剣に受け止めなければならない」 

■ブッシュ時代の対アフリカ政策

 米国のアフリカ政策はすでに、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)前政権のもとで大幅な転換を遂げている。前年には、主にアフリカにおけるエイズ、結核、マラリア対策のための拠出額を3倍の480億ドルに増額。また、ブッシュ大統領時代の貿易法、そして原油高の影響もあり、アフリカ全体の07年の対米輸出額は00年比で3倍の511億ドルに達した。

 だが、アフリカ人が米国初のアフリカ系大統領に寄せる期待はこれまで以上に大きい。

■ジンバブエ野党は「励まされた」、スーダン政府は沈黙

 オバマ大統領に経済の崩壊と政治改革の取り組みについて指摘されたジンバブエでは、オバマ大統領のメッセージは、民主主義を獲得する闘いへの励ましと受け止められている。

 連立政権に参加する野党・民主変革運動(Movement for Democratic Change、MDC)のNelson Chamisam広報担当は、「人々にインスピレーションを与えるメッセージだ。民主主義の実現に向けて闘っているすべての人々、アフリカが発展と目標を持った大陸であることを望むすべての人々、特に若い世代にとって、大いに励まされる」と話す。

 一方で、アフリカが直面する問題の一部、特にオバマ大統領の「スーダン・ダルフール(Darfur)地方ではジェノサイド(大量殺戮)が行われている」との批判については、これまでのところ一切反応がない。(c)AFP
http://www.afpbb.com/article/politics/2621160/4358632

2009年7月7日火曜日

AU首脳会議:スーダン大統領逮捕に協力せず

AU首脳会議:スーダン大統領逮捕に協力せず
2009年7月4日 19時42分 更新:7月4日 20時31分

 【カイロ和田浩明】アフリカ連合(AU、53カ国・地域)はリビアのシルトで3日閉幕した首脳会議で、バシル・スーダン大統領に対する国際刑事裁判所(ICC)の逮捕状の執行に協力しないことを決めた。アラブ連盟(22カ国・機構)も同趣旨の声明を3月の首脳会議で採択しており、国連加盟国の約4割が参加する二つの国際機構が、ICCの権威を否定する事態になった。

 AU加盟国・地域のうち30カ国はICC設立を決めたローマ規定の締約国。うちコンゴ民主共和国など4カ国に関しICCは捜査や公判を行っている。



http://mainichi.jp/select/today/news/20090705k0000m030047000c.html

2009年6月15日月曜日

ダルフールでの外国NGOの活動再開、スーダンは否定

ダルフールでの外国NGOの活動再開、スーダンは否定
2009年06月15日 12:51 発信地:ハルツーム/スーダン


ダルフールでの外国NGOの活動再開、スーダンは否定
2009年06月15日 12:51 発信地:ハルツーム/スーダン

関連情報スーダン・ダルフール問題
クリッピングする拡大写真を見る写真をブログに利用するスーダンのピボル(Pibor)で、国連食糧計画(World Food Programme、WFP)からの食糧配給を受けるムール(Murle)人住民ら(2009年3月22日撮影)。(c)AFP/UNMIS/TIM MCKULKA
関連写真1/1ページ全3枚



スライドショーを見る【6月15日 AFP】スーダン政府は14日、西部ダルフール(Darfur)地方から3月に追放された外国の援助団体の活動再開をスーダン政府が認めたとする国連(UN)のジョン・ホームズ(John Holmes)国連人道問題調整官(事務次長)の発言を否定し、「新たな名称」と「新しいロゴマーク」を伴う「新たなNGO」以外の国内での活動は認めないとの方針を示した。

 ホームズ氏は11日、追放された13の援助団体のうち、ケア・インターナショナル(CARE International)、Mercy Corps、セーブ・ザ・チルドレン(Save the Children)、PADCOの4団体の活動が認められたと述べていた。

 これについてスーダン当局は「追放した団体の活動再開を認める意思はない」と述べた。 

 スーダン政府は3月、国際刑事裁判所(International Criminal Court、ICC)がオマル・ハッサン・アハメド・バシル(Omar Hassan Ahmed al-Bashir)大統領に対し、ダルフール紛争における人道に対する罪と戦争犯罪で逮捕状を発行したことに抗議、ダルフールで活動していた外国のNGO団体はICCのスパイだとして追放処分にした。

 国連(UN)の潘基文(パン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長は、「100万人の生命が危機にさらされている」との危ぐを表明している。(c)AFP/Guillaume Lavallee


http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2611385/4266320

2009年6月10日水曜日

スーダン大統領、また逮捕状無視して外遊

スーダン大統領、また逮捕状無視して外遊

スーダンのバシル大統領(CNN) 中東スーダンのバシル大統領は6日、東部南部アフリカ共同市場(COMESA)首脳会議のため、アフリカ南部ジンバブエの首都ハラレに到着した。


バシル大統領に対しては今年3月4日、スーダン西部ダルフール紛争の人道罪などで、国際刑事裁判所(ICC、オランダ・ハーグ)が逮捕状を出した。同大統領は西側諸国がスーダンの再植民地化を図っていると主張して容疑を否認するとともに、13の国際人道支援団体に国外退去命令を出した。


バシル大統領は逮捕状が出て以来、カタールとエチオピアを訪問している。COMESA首脳会議は景勝地ビクトリア瀑布で開かれ、スーダンを含む加盟19カ国の首脳が出席する予定。


http://www.cnn.co.jp/world/CNN200906070013.html