2008年11月4日火曜日

スーダンPKO 積極派遣へ「待ち」を改めよ(11月4日付・読売社説)

スーダンPKO 積極派遣へ「待ち」を改めよ(11月4日付・読売社説)
 自衛隊の国際平和協力活動について、国連や他国からの派遣要請を待つだけでなく、より積極的に参加する姿勢に転じる契機としたい。

 政府は、スーダンの首都ハルツームにある国連スーダン派遣団(UNMIS)司令部に陸上自衛隊員2人を派遣した。アフリカでの国連平和維持活動(PKO)への参加は、1993~95年のモザンビーク以来である。

 今年初めに検討を開始し、要員の出発まで9か月もかかった。アフリカでの任務は久々とはいえ、わずか2人を派遣するのに、時間を要しすぎたのではないか。

 国際平和協力活動は昨年1月、自衛隊の本来任務に格上げされている。もっと迅速な政策決定と実施が求められる。

 今回派遣された隊員の任務は、データベースの管理などだが、それだけにとどまることはない。

 スーダン南部に展開するUNMISや、他のアフリカでのPKOに将来、部隊を派遣することを視野に入れて、陸自に適した派遣先や任務がないか、積極的な情報収集にも努めてもらいたい。

 ハルツームの日本大使館には、陸自の防衛駐在官1人が新たに配置される。防衛省の情報本部も来年度、アフリカ担当の情報分析官の4人増員を目指している。

 主体的にPKOの候補地を探し、治安情勢や任務の内容など、条件の合致する派遣先を外交交渉で確保する。そうした能動的な姿勢で臨まなければ、「PKO途上国」を脱することはできない。

 今年9月末現在、日本のPKO派遣者数はわずか36人で、世界82位にとどまっている。日本の国際的発言力を高めるためにも、PKO参加の拡大は急務だ。

 現在、国連のPKOは16、政治・平和構築派遣団は12あるが、その半数はアフリカに集中している。日本は、遠いアフリカへの派遣に躊躇(ちゅうちょ)する傾向があったが、意識改革を図る必要がある。

 政府は来年、安全保障の基本方針などを定めた「防衛計画の大綱」を改定する予定だ。自衛隊の国際平和協力活動を強化する方向で、部隊編成や正面装備の導入計画を見直すことが重要だ。

 陸自の中央即応集団には、PKO派遣で先遣隊の役割などを担う700人規模の中央即応連隊や、国際活動教育隊が所属している。機能強化を検討すべきだ。

 国際活動に適した装甲機動車や輸送ヘリコプターの拡充や、航続距離の長い次期輸送機の早期導入も優先的に進めるべきだろう。

(2008年11月4日01時54分 読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20081103-OYT1T00765.htm