2008年11月23日日曜日

オバマと世界:識者に聞く ナイロビ大学政治行政学部教授、アダムス・オロー氏

オバマと世界:識者に聞く ナイロビ大学政治行政学部教授、アダムス・オロー氏
 

◇ケニア政治、変化に期待
 オバマ氏の父の故郷はケニアだが、米・ケニア関係はこれまでも緊密であり、ケニアにとっては象徴的な出来事に過ぎない。アフリカ各国も過度な期待をすべきではない。

 オバマ氏はアフリカに理解や関心が深い分、各国はグッド・ガバナンス(良い政治運営)やより強い責任を求められるだろう。例えば、06年にナイロビ大学で講演したオバマ氏は、ケニアの政治腐敗を病気のがんに例えて批判し、ケニアや南アフリカがエイズウイルスの流行地帯になっていると懸念した。実に率直だ。

 オバマ氏の大統領当選によるアフリカへの最大の影響は、民主主義の真の姿を米国が示したことだ。現状が続けば、2012年に米国とケニアの大統領選が1カ月違いで実施される。

 昨年末の大統領選後、多数の死傷者を出す混乱が発生したケニアの政治状況から民族・部族中心主義が消えることはない。だが、今回の米大統領選のように多数の若者が政治参加する状況が生まれれば、ケニアでも政治的な変化が期待できるかもしれない。

 ブッシュ大統領はケニアを訪問していないが、オバマ氏が訪問する可能性は高い。2年以内の訪問を期待したい。しかし、だからといってケニアは特別な国とはならず、ソマリアやスーダンなど不安定な隣国を抱えるケニア自身の周辺国への外交政策や、イスラム過激派勢力への対応も変わることはない。【聞き手・ヨハネスブルク高尾具成】

毎日新聞 2008年11月23日 東京朝刊

http://mainichi.jp/select/world/news/20081123ddm007030067000c.html