2008年8月8日金曜日

日本人初の国際刑事裁判所裁判官、斎賀さん

日本人初の国際刑事裁判所裁判官、斎賀さん

斎賀富美子(さいがふみこ)さん(64)
 ミャンマーの民主化運動弾圧やスーダン・ダルフール紛争など、市民の人権が政府の圧政や無策の犠牲になる事例が後を絶たない。

 「腹立たしいことがいっぱいある」。40年余の職歴の大半を人権問題に費やしてきただけに、こうした世界の現状にいらだちを隠さない。

 9月からオランダ・ハーグの国際刑事裁判所(ICC)で、18人の判事団の一員としての活動を本格化させる。

 ICCは2002年に、「人道に対する罪」を裁こうという国際社会の歴史的な試みとして創設された。

 日本政府の人権担当大使として、北朝鮮による日本人拉致被害者救済にも携わった。法律家ではないだけに、就任要請には「かなり躊躇(ちゅうちょ)した」が、最後に就任を決断させたのも、「重大な罪を犯した人を野放しにしないことが、国際社会の安定につながる」という信念だった。外務官僚でありながら、埼玉県副知事も務めた異色の経歴がチャレンジ精神の旺盛さを物語る。

 「まだ独身なの。どうしてでしょうね」。最後に少し首をかしげてみせた。(ブリュッセル 尾関航也、写真も)

(2008年8月8日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/komachi/news/mixnews/20080808ok02.htm