2008年6月30日月曜日

スーダン:南北和平取り決めに亀裂

スーダン:南北和平取り決めに亀裂
IPSJapan2008/06/30
スーダン南部で20年に亘り続いた内戦を逃れ国内避難民となっていた数千の人々は、2005年の包括和平合意によりアビエイ地域へ戻った。しかし、5月半ば同地の争いは手に負えない状態となり北部/南部軍戦闘が再び始まった。






【ジュバIPS=スカイ・ウィーラー、6月23日】

 スーダン南部で20年に亘り続いた内戦を逃れ国内避難民となっていた数千の人々は、2005年の包括和平合意によりアビエイ地域へ戻った。しかし、5月半ば同地の争いは手に負えない状態となり北部/南部軍戦闘が再び始まった。国連は、この戦闘で、現在暫定的に南北の境界線と定められているキイル川を渡り約5万の人々が南へ逃れていると予測している。

 木の幹にビニール・シートを張り付けただけのシェルターの前を通った支援ワーカーに、避難民の1人、ニャンデン・アコトさんは訴えた。4人の子供を連れて着のみ着のままで逃げてきたが、子供は皆餓えており、もっと食糧が必要だと。

 彼女が逃げ込んで来た市場は、多数の兵士や数百人の難民で溢れかえっている。道路の反対側の木の下にはロケット砲ランチャーやカモフラージュのために泥を塗られた4輪駆動車が並んでいる。アコトさんを含む数千人の避難民の生活および和平取り決めの存続は、今後数週間の動きにかかっている。

 アビエイ地域は、スーダンの原油の多くを産すると同時に貴重な牧草地帯を有する。同地域の市民は2011年に北あるいは南へ所属するかの選択を行うことになっており、2005年には国際専門家が境界線提案を行った。しかし、スーダンのバシール大統領はこれを認めようとしなかった。それ以来、同地域では政治の空白が続き、石油収入の分配も行われていない。南部当局は、アビエイだけで過去3年間10億ドルの支払いが全く行われていないと語っている。

 南北の緊張と相互不信は、2005年の包括和平合意後も続いた。両者は、主要合意項目を守っていないと互いに相手を責め、南部閣僚は10月に、南部からの政府部隊撤退および石油収入の分配透明化の約束不履行、またアビエイの最終取扱いを不満として連合政府を脱退。それ以来、南部軍と北部民兵の間で衝突が続いており、南部のキイル大統領がこれをハルツーム政府の扇動としたことから、関係は更に悪化している。

 南アフリカのアナリスト、ジョン・アッシュウォース氏は、「ハルツームの国民議会党(NCP)が調印した和平合意も、実施が証明されなければ何の意味もない」と語っている。

 緊張高まるスーダン・アビエイ地区紛争について報告する。

翻訳/サマリー=山口ひろみ(Diplomatt)/ IPS Japan 武原真一

http://www.news.janjan.jp/world/0806/0806290788/1.php