2008年5月2日金曜日

なさけない我が国宰相

首相の「対中融和」路線を象徴 チベット問題で欧米と一線
2008.3.29 23:47



福田首相(代表撮影) 福田康夫首相が29日のインタビューで、中国でのチベット騒乱と北京五輪を結びつけることに否定的な見方をしたことは、これまで中国の主張に理解する発言が目立ってきた首相の「対中融和」姿勢を際立たせたといえる。中国政府による弾圧を人権問題ととらえる欧州諸国の一部首脳が五輪開会式への不参加を表明する中、首相発言はこれらとは異なるものであり、同政府の対応を支持するかのような、誤ったメッセージを送ることになりかねない。

 首相は、チベット騒乱に関する日本の対応について「早期に、かつ平和裏に問題が沈静化することを強く期待する」と表明し、中国政府とダライ・ラマ14世の直接対話を「歓迎する」との立場を示した。だが、中国政府の弾圧を直接的に批判する発言はしなかった。

 8月の北京五輪の開会式には、ドイツのメルケル首相が欠席を発表し、ポーランド、チェコなど4カ国首脳も開会式ボイコットの方針を決めた。フランスのサルコジ大統領も不参加の可能性に言及しており、欧州ではチベット騒乱が北京五輪に波及する様相を呈している。

 チベット騒乱をめぐる福田首相の対応は、人権意識の高い欧州諸国の首脳とは対照的で、国際的な批判を受ける中国政府を事実上擁護するものだ。

 首相はもともと、靖国神社参拝問題で中国寄りの立場をとるなど、中国に融和的な姿勢を貫いてきた。

 父の故赳夫元首相は、日中国交回復に邁進(まいしん)した故田中角栄元首相との対立もあって、「親台湾派」とみられた時代があったが、首相就任後の昭和53年に日中平和友好条約を締結し、対中重視の政策に転換した。そのDNAを受け継いだ首相は父の秘書時代から中国との人脈、パイプを築いてきた。

 5月上旬に予定されている胡錦濤国家主席の来日を控え、日中間では、東シナ海のガス田開発や中国製ギョーザ中毒事件など課題が山積している。首相発言の背景には「チベットで貸しを作って、ガス田やギョーザ問題で中国の譲歩を引き出すことを狙っているのではないか」(自民党中堅)との観測も出ている。

 ただ、チベット騒乱については、超党派の議員連盟が「状況が悪化するなら、胡主席の来日は歓迎できない状況になりかねない」とする声明を発表するなど、政府に毅然(きぜん)とした対応を求める声が根強い。首相の対中融和姿勢が続けば、与党内でもさらに福田内閣に対する批判が強まることになりそうだ。(杉本康士)


http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080329/plc0803292344009-n2.htm