2008年4月24日木曜日

聖火リレー警備どこまでやるの?「欽ちゃん走り」に100人の盾

聖火リレー警備どこまでやるの?「欽ちゃん走り」に100人の盾
 



長野市で26日に行われる北京五輪聖火リレーで、長野県警が100人規模の“伴走警備隊”を組織して聖火とランナーを護衛することが23日、分かった。スポーツウエア姿の屈強な機動隊員5人が聖火護衛の中核を担い、他の約100人は二列縦隊で並走する。まさに“盾”となる厳重警戒態勢だが、沿道から「欽ちゃん走り」が見えない可能性もありそうだ。







 善光寺が出発地を辞退するなど、波乱の予感が漂う26日の長野聖火リレー。長野県警が超厳戒の伴走警備隊を結成することになった。

 計画では、伴走の中心となるのは機動隊員5人。聖火ランナーとともに、トーチの火の管理をするために北京五輪組織委員会が派遣する中国人伴走者2人の周りを固め並走する。停止して聖火を次走者に中継する際は5人が近くでニラミをきかせる態勢だ。

 中国側が世界各地のリレーに警備目的で派遣して注目を浴びている青いジャージー姿の「聖火防衛隊」。日本への派遣も要請しているが、日本政府は「他国の力は借りない」などと受け入れない方針を明示している。

 5人の機動隊員は、いわば自前の“聖火自衛隊”。中国側の派遣要請を拒絶しているだけに責任は重大だ。青いジャージーに対抗するためか、スポーツウエアを着る予定だがウエアの色に関して県警は明らかにしていない。

 さらにその外側は、制服警官約100人が伴走する。両側に二列縦隊で配置するため一列に25人程度が並び、30~40メートルの人垣が作られることに。沿道からの見物しやすさより安全確保を最優先させる態勢で、タレントの萩本欽一(66)らも“チラ見”程度となってしまう可能性がある。

 県警幹部は「リレーを楽しみにする観客の期待にも応えたいが、万が一の事態にも警戒しなければならない」と苦しい胸の内を明かす。

 また出発式が行われる県勤労者福祉センター跡地と、中間の休憩所となるエムウエーブ(98年長野五輪スピードスケート競技会場)については会場への一般客の立ち入りを禁止。到着式の若里公園でも式典エリアへの入場を制限する。

 聖火は25日早朝、チャーター機でオーストラリアから日本に到着。26日に長野市内の約18.7キロを80人がつなぎ、次の韓国ソウルに送られる。厳重警戒の“成果”は果たして…。


★第1走者は星野監督

 長野市の実行委員会は23日、聖火リレーの第1走者は北京五輪野球日本代表の星野仙一監督(61)と発表した。ただ当初は他のランナーの出走順・区間も発表するとみられていたが、星野監督以外は“極秘”とすることを決定。実行委側のピリピリムードをうかがわせた。

 非公表の方針について実行委幹部は「沿道でさまざまな主張、抗議活動が予想され、有名ランナーの区間を発表すると観客がそこに集中するなど不安定な要素が考えられる」などとし、警備上の理由を挙げた。


★長野市民の思いは複雑

 「できれば公表を」「市民不在のリレーだ」。お目当てのランナーが走る順番も区間も分からないリレー。聖火の到来を待ち望んだ長野市民の思いは複雑だ。市中心部のリレールート近くで美容室を営む高橋栄さん(38)は「お目当てのランナーを見物しにくくなる。警備が厳重になるにつれ、平和の祭典から遠ざかる」と落胆。一方、エムウエーブの近くに住む女性看護師(40)は「海外で実際に騒動が起こっているから、やむを得ない気がする」と、当局の考えを容認する。

 出発式典では、長野市立湯谷小学校の児童によるマーチングバンドが予定されているが、一般客は立ち入り禁止になるため保護者も見られない。竹内正俊校長は「子供たちのためにも、当初通りにやってほしかったが…」と残念そうだ。


★聖火がキャンベラ到着

 北京五輪の聖火は23日朝(日本時間同)、インドネシアのジャカルタからオーストラリアの首都キャンベラに到着した。キャンベラ市内の国会議事堂、戦争記念館などを通過する全長約16キロの聖火リレーは24日午前、80人のランナーが参加して3時間近くかけて行われる。

 国会議事堂のそばで、チベット暴動鎮圧に抗議する集会が予定される一方、オーストラリア各地から数千人の中国系市民が駆けつけるとみられ、混乱も予想される。


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