2008年4月8日火曜日

パリの聖火リレー、途中で打ち切り 激しい抗議に3度消される

パリの聖火リレー、途中で打ち切り 激しい抗議に3度消される
2008.4.8 00:56


 【パリ=山口昌子】北京五輪の聖火リレーは7日、チベット騒乱での中国当局の人権弾圧に抗議するデモ隊の激しい妨害にあった。仏当局は混乱を避けるため少なくとも3回、聖火を消してリレーを中断。フランス通信(AFP)によると、リレーは最終盤の国会議事堂前で打ち切られ、終着地までバスで運ばれた。この騒ぎで負傷者も続出し、28人が拘束された。30人以上の拘束者を出した前日のロンドンに続き、平和の祭典を象徴するはずの聖火は、人権宣言発祥の地、パリで激しく揺らいだ。

 約3000人の警察官が厳戒態勢を敷く中、聖火は7日昼過ぎにエッフェル塔を出発。凱旋門やシャンゼリゼ大通りなどを五輪メダリストら約80人がリレーし、約28キロ先のシャルレティ競技場を目指した。

 聖火の周囲には数百人の警備員を二重三重に配置し併走。その外側をオートバイ65台が守り、上空にはヘリコプター、セーヌ川には警備ボートが行き来した。

 「チベ、チベ(チベットの仏語発音)」

 沿道のデモ隊は叫び声をあげ、「天安門1989-ラサ2008」などと書かれたプラカードを掲げて中国の人権弾圧に抗議した。デモ隊と警官隊はリレー開始から200メートルで衝突し、安全上の理由で聖火が消され、混乱が収束するまで伴走するバスの中に移された。こうした衝突は少なくとも3回発生した。AFPによると、主催者側は、バスの中に、3月にギリシャで採火した炎が保管されており、聖火の正当性に問題はないことを強調した。


 シャンゼリゼ大通りでは、機動隊の大型車両に守られた聖火が近づくと沿道から大ブーイングが上がった。一部地域では、警官隊が催涙弾を使用した。沿道の警察官らは、デモ参加者が掲げる“チベット国旗”をたたむよう指導。支援者らは怒りをあらわにして各所で騒然となった。

 世界遺産のノートルダム寺院やパリ市庁には、国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」(本部・パリ)が製作した五輪を手錠にした図案の横断幕と“チベット国旗”が掲げられ、パリ市は中国側の要請で、聖火を庁舎内に迎え入れる式典を中止した。




 国際オリンピック委員会(IOC)のロゲ会長は7日、北京で開かれた各国オリンピック委員会連合(ANOC)総会で、北京五輪の聖火リレーに対する妨害行為などについて、10日のIOC理事会とANOCの合同会議で議題に入れて検討する考えを示した。(北京 共同)

http://sankei.jp.msn.com/world/china/080407/chn0804072031009-n2.htm