2008年4月20日日曜日

長野県警4000人警備、「聖火防衛隊」拒否

長野県警4000人警備、「聖火防衛隊」拒否
 

26日に長野市で行われる北京五輪聖火リレーで、北京五輪組織委員会が複数回派遣の申し入れをした「聖火防衛隊」の受け入れを、長野県警がその都度拒否していたことが19日、分かった。青いジャージー姿で聖火ランナーを取り囲んで伴走する防衛隊は、その容赦ない行動に各地で批判と不安の声があがっていた。北京組織委は長野市でも7人程度の伴走を要求していたが、同県警は「安全は責任を持って確保する」と拒否した上で、不測の事態に備える警備方法の検討を重ねている。

 長野県警の厳然とした対応が明らかになった。関係者によると、防衛隊の派遣の要求はこれまで数回あった。長野県警はその都度、断ってきたが、北京組織委は担当者を16日から長野市に送り込みルート視察などを行った。その上で「リレー走者の安全確保のため」と再度派遣を要求したが、長野県警は「安全は責任を持って確保する」と申し出を拒否した。

 防衛隊の受け入れについてはすでに、泉信也国家公安委員長(70)が「警備は日本の警察がちゃんとさせていただく」と述べ、町村信孝官房長官(63)も「わが国はきちんとした法治国家。他国の力を借りなければならない治安状況にない」と方針を示していたが、具体的な派遣申し入れがあり、拒否していたことが判明したのは初めて。

 デモ参加者を力ずくで組み伏せ、時には暴力行為に出る防衛隊に批判の声は各地で強かった。ロンドンのリレー走者で女性タレントのコニー・ハクは「ほえるように命令された」。ロンドン五輪招致委員会会長は「あいつらはごろつきのたぐい」と非難。パリのリレー走者で五輪柔道金メダリストのダビド・ドゥイエはトーチの火を防衛隊に消され、「五輪を踏みにじった」と憤慨していた。

 警察当局は機動隊出動も要請し、市職員やボランティアを含む当初の2倍以上の4000人規模の厳戒態勢で臨む方針を固めた。現在の計画では、スポーツウエアを着た機動隊員らを中心に、数十人の警察官がリレー走者の両側に縦列をつくって伴走する予定。走者同士が火を受け継ぐ時には周囲を取り囲んで不測の事態に備えるが、情勢次第でさらに手厚くすることもある。また、聖火が消えた場合に再点火する仕事に専念し、警備に関与させないという方針で、中国人2人の伴走は当初の計画通り認めるという。

[2008年4月20日9時14分 紙面から]

http://beijing2008.nikkansports.com/news/p-sp-tp0-20080420-350437.html