2007年9月14日金曜日

スーダン : 最新の写真がダルフール武器禁輸措置違反の証拠を明示

アムネスティ・インターナショナルのHPにダルフール問題の記事を掲載しました。

スーダン : 最新の写真がダルフール武器禁輸措置違反の証拠を明示

http://www.amnesty.or.jp/modules/news/article.php?storyid=361

投稿日時: 2007-9-7 21:30:00 (227 ヒット)
本日、アムネスティ・インターナショナルは、国連による武器禁輸措置と和平合意にもかかわらず、スーダン政府が攻撃用の軍事物資をダルフールに配備し続けている証拠を示す新たな写真を公表した。

「スーダン政府は、国連の武器禁輸措置とダルフール和平合意を公然と無視して、ダルフールに武器を配備している。アムネスティは、スーダンとダルフールに通じるすべての港湾に国連の監視員を配置するなど、禁輸措置の効果的な実施を確保するために国連安全保障理事会の断固たる取り組みをあらためて要請する」とアムネスティ武器規制調査マネージャのブライアン・ウッドは言明した。

ダルフールの目撃者がアムネスティとアントワープの国際平和情報サービスに送ってきた写真は、アムネスティが2007年5月に発表した報告書『スーダン:武器がダルフールの深刻な人権侵害を悪化させている』で示した証拠を裏づけるものである。7月にダルフールのエル・ジェネイナ空港で撮影された最新の写真は、以下の事実を示している。




(写真1)エル・ジェネイナ空港の軍用エプロンで、スーダン国軍兵士がアントノフ輸送機から貨物コンテナを降ろして軍用トラックに積み込んでいる。ロシアが供給したアントノフ12型輸送機(登録番号ST-ASA)はアッザ航空社によって運行されているが、同社は現在「ダルフールへの武器禁輸措置に関する国連専門家パネル」による調査を受けている。



(写真2)エル・ジェネイナ空港におけるスーダン空軍所有のロシア製Mi-17軍用ヘリコプター(登録番号534)。ロシアは少なくとも15機の同型軍用ヘリコプターを2005年および2006年に供給する取引に合意している。


(写真3)ダルフールのニャラからエル・ジェネイナ空港に再配備されたロシア製Mi-24攻撃用ヘリコプター(登録番号928)。ロシアは2005年に同型の攻撃用ヘリコプター12機をスーダンに供給した。

スーダン政府はダルフールの民間人に対する空からの攻撃を続けており、6月末に、国連が北ダルフールにおける空からの攻撃について報告している。スーダン政府軍とそれを支援するジャンジャウィド民兵によって、反政府武装勢力が支配する地域に新たな攻撃が加えられた後、数千人の国内避難民が西ダルフールのジェベル・ムーン・シルバ地方から逃がれた。地元の人たちによると、ヘリコプターが武器を運んでスーダン政府軍とジャンジャウィドに渡していたということである。南ダルフールでは、8月2日に反政府勢力「正義と公正運動」がアディラの町を攻撃した後、スーダン政府軍のアントノフ機が農村と水道施設を目標として爆撃を実施した。さらにアントノフ機はアディラ近くのタールバを爆撃し、8月13日にはハビブ・スレイマン村とファタハ村を爆撃した。このような攻撃が可能なアントノフ機は、2006年9月にロシアからスーダンに供給されたものであるといわれている。

アムネスティはまた、エル・ジェネイナ空港に駐留する武装したスーダン国境警備隊が、民間人居住地で武装したランドローバー四輪駆動車を使用しているという報告に懸念を抱いている。スーダン政府は、深刻な人権侵害の加害者を排除することなく、多数のジャンジャウィド民兵を国境警備隊ならびに人民防衛軍(PDF)と予備警察に編入しており、これは民間人にとって大きな脅威となるものである。

ダルフールにおける小型武器と軍用車両の拡散により、支援物資車両への攻撃やその他の民間人への破壊的な攻撃が増加している。スーダン政府は、政府の武器や車両を使用している民族集団の攻撃を放置してきた。最近の攻撃としては、7月31日に北部リゼイガット集団(その多くは国境警備隊諜報部員の制服を着用していた)がテルジェム集団に攻撃をしかけ、少なくとも68人が死亡した。多くの軍用車両、携行用ロケット弾、機関銃などを用いた北部リゼイガット集団は、ガワヤ村に到着後無差別に発砲した。村では数百人が集まって、4日前の攻撃で殺された人びとを追悼していた。北部リゼイガット集団もテルジェム集団もアラブ系を自認しており、ジャンジャウィドおよびPDFなどのスーダン政府が支援する準軍事組織のメンバーである。

2007年7月31日、国連安保理は、アフリカ連合と国連により新たに編成強化された合同部隊をダルフールへ派遣することを定めた決議1769を採択した。しかし同決議では、政府の支援を受けているジャンジャウィド民兵とダルフールの反政府武装勢力を武装解除または動員解除する任務をこの平和維持部隊に認めていない。

「もし兵器が引き続きダルフールに流入し、平和維持部隊がすべての反政府武装勢力とジャンジャウィド民兵を武装解除または動員解除する権限を持たないならば、新しい平和維持部隊の民間人を保護する能力は著しく低いものになるだろう」とアムネスティのアフリカ部長エルウィン・バン・デル・ボルトは語った。

「ダルフールの平和維持活動を成功させるためには、ダルフールへの武器禁輸措置を完全かつ効果的に実施すること、ならびに政府が支援するジャンジャウィド民兵とダルフールの反政府武装勢力を武装解除ないし動員解除する権限を平和維持部隊に与えることを、国連安保理は確約しなければならない」と、アーウィン・バン・デル・ボルトは述べた。

*参考情報
国連の武器禁輸措置:
2005年3月29日、国連安保理は決議1591によって、スーダン政府を含め、ダルフール紛争にかかわるすべての当事者に包括的な武器輸入禁止を課した。この禁輸措置は、決議1556により北、南および西ダルフールで活動しているジャンジャウィド民兵を含むすべての非政府集団を対象とした2004年7月30日の国連武器禁輸措置を拡大したものである。2005年の決議1591第7条に基づき、ダルフール地域への軍事物資と補給品の配備は、「スーダンに関する国連制裁委員会」が承認した場合にのみ可能となる。ダルフールへの武器禁輸措置を監視している「国連専門家パネル」は、未承認の配備は2005年の決議1591の違反にあたると繰り返し主張している。アムネスティの知る限り、「スーダンに関する国連制裁委員会」は配備の許可を与えたことはない。

ダルフール和平合意:
国連安保理はまた、スーダン政府および2つの反政府武装勢力、「スーダン人民解放運動/軍」と「正義と公正運動」が、2004年4月8日の「ンジャメナ停戦合意」と11月9日の「アブジャ人道・治安に関する議定書」を尊重することを要求した。これらの文書はとくに、スーダン政府がジャンジャウィド民兵を武装解除・動員解除し、PDFの活動を縮小・制限し、さらに「武器や弾薬の供給や入手を控えるよう」要請している。

アッザ航空社:
2007年2月24日、ユナイテッド・アラビアン航空が所有しアッザ航空会社が運行しているロシア製アントノフ12型輸送機(ST-AQE)が、武器 (122ミリ曲射砲2台と武器弾薬が入っていると思われる40から50個の濃い黄緑色の木箱)と軍事要員を輸送中にエル・ジェネイナ空港に不時着した。2007年5月29日、アッザ航空会社は、「ダルフールの平和と安定に対する脅威に関与し、ダルフールにおける紛争当事者に武器や関連物資を直接的または間接的に供給、販売または輸送した」として、米国の海外資産管理局の経済制裁リストに加えられた。

AI Index: AFR54/045/2007
2007年8月24日