2008年8月3日日曜日

どこよりも五輪を政治利用する国

どこよりも五輪を政治利用する国
2008.8.3 11:56



北京に到着したIOCのジャック・ロゲ会長。五輪開幕を控え、要人の訪中が相次いでいる(ロイター) 7月31日正午ごろ、北京五輪の開会式に出席する最初の外国首脳として、アラブ首長国連邦のムハンマド副大統領兼首相と夫人が、笑顔で北京国際空港に降り立った。中国外務省の幹部らが多数出迎え、シンプルな歓迎セレモニーが行われた。中国の五輪外交が本格的にスタートした。

 中国紙の報道によると、8月8日の開幕までに、約150機の特別機が同空港に着陸し、福田康夫首相を含む80人を超える国家元首、政府首脳、王室メンバーが到着する予定という。

 これまでに外国首脳が最も多く出席したのは2004年にギリシャで開かれたアテネ五輪だった。108年ぶりに五輪「生誕の地」に戻ったことから、欧州を中心に67カ国の国家元首級の要人が参加した。

 今回の北京五輪を、改革開放の成果を誇示し、国威発揚の場としたい中国当局は、史上最も盛大な大会にするため、外国指導者の招請に並々ならぬ力を入れてきた。しかし、3月のチベット騒乱を受けて、中国のチベット政策などに抗議するため、チェコ、ポーランドなどの首脳が相次いで開会式のボイコットを表明、中国は苦しい立場に立たされた。

 厳しい外交環境の中で、中国当局は必死の努力を続け、米、日、仏など主要国の首脳から出席の約束を取り付けた。国家元首級の総数でも、100人以上という当初の目標は難しいが、80人以上という新記録は達成できそうだ。
チベット騒乱以後、人権問題などで欧米諸国が中国の五輪開催資格を問うとき、中国側はいつも「スポーツの祭典である五輪を政治利用してはいけない」と反論している。

 だが、どの国よりも五輪を政治利用しているのは中国自身であることは、誰が見ても明らかだ。     (矢板明夫)
http://sankei.jp.msn.com/beijing2008/news/080803/gbh0808031200000-n2.htm