2008年6月1日日曜日

アフリカ開発会議 自立や発展どう手助け '08/5/31

アフリカ開発会議 自立や発展どう手助け '08/5/31


 自立に向け、種をまくことができたのではないか。きのうまで日本が国連や世界銀行などと横浜市で開催していたアフリカ開発会議である。持続可能な発展の方策を盛り込んだ横浜宣言を採択した。

 アフリカ五十三カ国のうち五十一カ国が参加。首脳級の出席は四十カ国に上り、最多となった。まだ国際的な関心が薄かった十五年前に始まった会合が、回を重ねるごとに重みを増しているようだ。

 今回、最も注目されたのは価格高騰の続く食料だろう。エチオピアやエジプトなどでは暴動も発生。各国が強い懸念を表明した。

 横浜宣言に沿って今後の道筋を示した行動計画には、緊急援助のほか、高温や乾燥に強い新品種の「ネリカ米」普及をはじめコメの生産量倍増などが盛り込まれた。住民の自立や各国の成長を手助けする上で不可欠である。六月にローマで開かれる国連の食料サミットに向け、国際社会に対応を求めるアピールにもなっただろう。

 干ばつや砂漠化などの形で地球温暖化の影響がアフリカでは既に現れ始めている。一層の食料不足を招かないよう、温室効果ガスを抑制する取り組みを広げたい。

 アフリカといえば、紛争と内戦で傷つき、飢餓に苦しむ人々というイメージが強い。確かに、貧困や失業、低い農業生産性、感染症など直面する課題は依然深刻だ。

 しかし最近、変わりつつある。紛争はスーダン西部のダルフールなどを除いて落ち着いている。経済的には、レアメタル(希少金属)など地下資源が豊かで、二〇〇四年以降は地域全体で5%以上の高い成長率を記録している。

 資源確保のため、多くの国が積極外交を展開している。中国の浸透ぶりが近年は目立つ。日本も安閑としてはいられまい。政府開発援助(ODA)を一二年までに倍増すると約束するなど、今回の会合で支援に前向きな姿勢を印象づけることができたと言えそうだ。

 日本には、国連安全保障理事会の常任理事国入りを応援してほしいとの思惑もある。安保理を拡大することが前提となるが、国連の早期改革を訴える主張が横浜宣言には取り入れられた。日本の立場が理解されつつあるようだ。

 日本は、アフリカを植民地支配した欧州各国とは違い、しがらみがない。敗戦から立ち直って平和な社会を築き、経済成長を遂げた経験を伝えるなど独自の貢献も可能なはずだ。地域に根ざした手法として横浜宣言にも書き入れられた大分県発祥の一村一品運動は貧困対策に役立つに違いない。ノウハウを生かす試みに期待したい。

 七月には主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)がある。国際社会の協力を確実にするためにも、今回の合意を基に、さらに具体策を詰めることが必要だ。

http://www.chugoku-np.co.jp/Syasetu/Sh200805310090.html