2008年5月4日日曜日

<聖火リレー>試された香港「1国2制度」 成功アピール 

<聖火リレー>試された香港「1国2制度」 成功アピール 
5月2日19時5分配信 毎日新聞


 【香港・庄司哲也】北京五輪の聖火リレーが2日、中国領内として初めて香港で行われ、大きな混乱もなく終了した。リレーは、中国が香港への「高度な自治」を保障した「1国2制度」が試された場でもあった。厳重な警備で混乱を未然に防ぐ一方、チベット独立や民主化を求めるデモも一定程度容認し「1国2制度」の「成功」をアピールした。聖火が香港を無事、通過したことで中国政府は自信を深めたとみられる。

 聖火リレーの開始に当たり、香港特別行政区政府の曽蔭権行政長官は「香港は国際都市だ。(聖火リレーでは)中国と世界各地をつなぐ、橋渡し役を担った」と強調した。

 1国2制度の下、言論や政治活動の自由を含む高度な自治が保障された香港は、中国との関係を守りながら、その自由を維持しようと腐心している。警備の警察官を大量動員し、過激な行動には断固とした措置を取る姿勢は堅持しながら、チベット旗の掲揚を意識し「どんな地方の旗を掲げても違法ではない」と度量を示した。

 実際、香港が歓迎一色だったわけではない。報道によると、周囲の観客と衝突しそうになったチベット独立を唱える香港大の女子学生ら8人を警察が一時保護、直後に解放した。また、中国の人権弾圧を非難する民主派団体は、「人権聖火リレー」と名付けたデモを行った。

 スーダンのダルフール紛争問題で中国を非難し、北京五輪に反対する米女優ミア・ファローさんは香港内で講演を行い、民主派団体「香港市民支援愛国民主運動連合会」は聖火と同時に「人権聖火リレー」と名付けたデモも実施した。

 だが、そうした抗議の活動も大きな混乱にはつながらなかった。一定の言論、政治活動の自由がありながらも中国本土との一体化が進む香港を印象付けた。中国政府にとっては理想的な聖火リレーとなったと言えよう。

最終更新:5月2日21時37分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080502-00000072-mai-cn