2008年4月17日木曜日

脱北者強制送還中止を 米独立諮問機関、五輪控え中国に圧力訴え

脱北者強制送還中止を 米独立諮問機関、五輪控え中国に圧力訴え
2008.4.16 19:05

 【ワシントン=有元隆志】米政府と議会に対外宗教政策について勧告する独立諮問機関「国際宗教自由委員会」は15日に発表した報告書で、中国に対し、北朝鮮を脱出した住民(脱北者)を強制送還しないよう求めるとともに、8月の北京五輪に向けて、中国に圧力をかけるよう国際社会に呼びかけた。発表に同席した上下両院議員からも、チベット騒乱やスーダン・ダルフール問題に加え、脱北者問題での中国の対応にも注目する必要があるとの意見が相次いだ。

 報告書は、中国の脱北者強制送還について「特に懸念すべき問題」と指摘。北朝鮮に送還された脱北者が中国国内でキリスト教に改宗したり、韓国人と接触したことがわかった場合、厳しい尋問、拷問、虐待などの仕打ちを受けているという。

 同委員会では2003年から07年にかけて、中国に渡った32人の脱北者と、韓国に亡命した6人の元治安当局者と面談した。

 証言によると、北朝鮮はキリスト教プロテスタンティズムが国内で広まることを「治安上の脅威」と位置づけるとともに、「米国や韓国の情報機関が背後にいる」とみている。

 報告書では、「国際社会が協調して中国に強制送還をやめ、(脱北者を)保護するように圧力をかけることで、虐待を防ぐことができる」と強調した。

 ブラウンバック上院議員(共和)は、チベット騒乱やスーダン・ダルフール問題とともに、脱北者問題で中国に圧力をかけていくべきだと主張した。

 ロイス下院議員(共和)も米国などは北京五輪を「テコとして利用」し、脱北者に対する中国の扱いを改めさせる必要があるとの認識を示した。中国国内には3万人から5万人の脱北者がいると推定されている。

http://sankei.jp.msn.com/world/china/080416/chn0804161904002-n1.htm