2008年3月20日木曜日

チベット騒乱問題、北京五輪に影響か 仏外相、EU開会式不参加検討促す

チベット騒乱問題、北京五輪に影響か 仏外相、EU開会式不参加検討促す
2008.3.19 01:17

このニュースのトピックス:食の安全
 中国西部チベット自治区ラサから中国各地に飛び火している僧侶らによる大規模騒乱の北京五輪への影響が出始めている。フランスのクシュネル外相は18日、騒乱が続けば、欧州連合(EU)は北京五輪開会式への不参加を検討すべきだとしたほか、台湾の最大野党、中国国民党の馬英九・次期総裁候補も当選後、五輪ボイコットを排除しないとの声明を発表した。国際オリンピック委員会(IOC)本部のあるスイス・ローザンヌでは同日、スイスのチベット人らのデモ行進が行われ、「ロゲ(IOC会長)さん、あなたの沈黙がチベット人を死なせる」と書いた横断幕を掲げ、中国に圧力をかけるようせまった。選手の間でもボイコットを検討する動きが出始めており、選手が抱く不安や嫌悪感を止めるのは容易ではない。

 【パリ=AP】クシュネル仏外相は18日、中国チベット自治区での騒乱が続けば、EUが北京五輪開会式へのボイコットを検討すべきだとする考えを示した。記者団に、国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」(本部パリ)や欧州議会の一部が、五輪開会式ボイコットを求めていることについてたずねられ、答えた。

 同外相は今月28、29の両日にスロベニアで開く予定のEU外相理事会で、この問題について討議するよう提案する考えを示したが、「フランス政府の立場とは一致しない」とし、フランスは競技自体はボイコットしないと述べた。

 【北京=川越一】フランス通信(AFP)は、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ副会長が、ドイツの週刊紙「ビルト日曜版」に対し、「何人ものスター選手は五輪のことを考えたときに不安を覚えている。中には棄権することを考えている選手もいる」と明かしたことを伝えた。

 これまでもスーダン・ダルフール問題に絡み、欧米では中国政府の姿勢を非難する声が絶えなかったが、英国のブラウン首相やドイツのメルケル首相ら各国首脳は、北京五輪ボイコットを求める世論を抑えてきた。

 しかし、選手の間にはすでに不安が広がり始めている。五輪馬術の個人・団体で計4個の金メダルを獲得しているルドガー・ビアバウム(ドイツ)は、ビルト日曜版紙上で「この状況下で中国で競技ができるのかどうか考えてきた」と告白。選手同士で北京五輪のボイコット問題について話し合っていることを明かした。

 また、やり投げ女子の欧州記録保持者で、昨夏の世界陸上大阪大会の銀メダリスト、クリスティーナ・オーバークフォル(ドイツ)も、「なぜ(IOCは)中国に五輪を与えたのか、ずっと自問自答している」と述べた。

 17日付のイタリア紙レプブリカに掲載された世論調査では、回答者の96・1%が、北京五輪ボイコットを支持。複数の欧州メディアは、明確にボイコットを主張し始めている。中国の温家宝首相は18日の記者会見で、「彼ら(騒乱の首謀者)はただ五輪の破壊を扇動しようとしているだけだ」などと反論したが、「食の安全」問題や大気汚染にチベット自治区の騒乱が加わったことで、北京五輪回避の動きが加速することが予測される。

http://sankei.jp.msn.com/sports/other/080319/oth0803190118000-n1.htm