2008年3月18日火曜日

IOCは五輪ボイコット反対 チベット騒乱

IOCは五輪ボイコット反対 チベット騒乱
2008.3.16 22:26

このニュースのトピックス:五輪
 【北京=川越一】中国西部のチベット自治区ラサで起きた大規模な騒乱に関し、国際オリンピック委員会(IOC)のロゲ会長は15日、「北京五輪のボイコットは何も問題を解決しない」と述べ、騒乱を理由にボイコットの機運が高まることを牽制(けんせい)した。

 AP通信によるとロゲ会長は、歴訪中のカリブ海の島国セントクリストファー・ネビスの首都バステールで記者会見し、事態の早急な沈静化を求めるとともに、「(ボイコットは)無実の選手を傷つけ、組織が価値ある行動をすることを妨害する」と述べた。

 すでに欧米では中国がスーダン・ダルフールでの大量虐殺を阻むために十分な努力をしていないなどとして、北京五輪ボイコットを訴える声があがっていた。最近も、米映画監督スティーブン・スピルバーグ氏がダルフール問題に絡み、北京五輪の芸術顧問を辞退した。

 これらの流れに対して、中国の楊潔●(=簾の广を厂に、兼を虎に)外相は、12日の記者会見で「五輪を政治化しようとしているのは、中国に極めて大きな偏見を持つ勢力だ」と、五輪を政治問題化する風潮を批判したばかりだ。だが、フランス通信(AFP)によると米人気俳優のリチャード・ギアさんは、今回の騒乱に対する中国政府の対応によっては、それでも五輪をボイコットするべきだと主張。騒乱がボイコット支持に勢いを与えそうな状況だ。

 過去には1968年メキシコ五輪直前に、競技場建設などを巡る政治腐敗への抗議行動を行った学生らが鎮圧され、数百人の死者が出たのにも関わらず大会が開催された例がある。逆に1980年モスクワ五輪、84年ロサンゼルス五輪のボイコットでは、日本を含む多くの選手が出場の夢がかなわず泣いた。以来、「IOCは常に五輪ボイコットの要求に抵抗してきた」(ロゲ会長)。

 しかし、騒乱が長期化して死者数が増加した場合、中国での五輪開催についてIOC内部からも再考を求める声が出ないとはかぎらない。


http://sankei.jp.msn.com/sports/other/080316/oth0803162225022-n1.htm