2008年2月8日金曜日

北京五輪まで6か月、街から消える「好ましからざる客」

北京五輪まで6か月、街から消える「好ましからざる客」



【2月7日 AFP】8日に「北京五輪まで6か月」のカウントダウンが始まる中国。政府は、五輪の成功は貧困国から経済大国への脱皮を世界にアピールする絶好のチャンスとばかりに、開催に向けた準備の仕上げを呼びかける一方、「好ましからざる客」のあからさまな排除も加速させている。

 政府は、「時間がない。急がなければならない。党も社会もさらに前進しなければならない」と国民に呼びかける一方で、北京市のイメージアップ作戦や反体制派の取り締まりを推進。泥棒、露天商、売春婦などは街から消え、活動家はだんまりを決め込まされている。人権活動家の胡佳(Hu Jia)氏(34)が前年12月に国家政権転覆扇動の疑いで拘束された事件が最たる例だ。

 新聞社が五輪批判記事を掲載することも禁止されているとされる。

 また、共産党の機関紙、人民日報(People’s Daily)は、スーダンのダルフール(Darfur)問題や台湾、チベット、人権侵害問題に対し中国政府批判を展開する海外の論評に対し「そのような攻撃は容認できないし、五輪開催国を口実にした圧力には屈しない」とする社説を掲載した。

 北京市は、開催地に決まった2001年以降、多額の費用を投入してインフラの整備にまい進。モニュメントや会場の設計には世界トップレベルの建築家を起用した。五輪開催までのジグソーパズルは、4月か5月に見込まれるメインスタジアムの完成によりすべて埋まることになる。

■大気汚染がネックに

 一方で、大気汚染という最大の問題は、120億ドルという巨額の対策費もむなしく、解消されていない。北京市は、大会期間中には大々的な交通規制を行うとしているが、前年8月の試験的実施では大気汚染の減少は見られなかったため、効果は疑わしい。国際五輪委員会(International Olympic Committee:IOC)のみならず、選手たちも懸念するところだ。

 男子マラソンの世界記録保持者ハイレ・ゲブレセラシェ(Haile Gebrselassie、エチオピア)選手は今週、AFPに対し、大気汚染のためマラソンを欠場することを考えていると語った。同選手にはぜんそくの持病もある。「あの中で2時間以上走るのは非常に厳しい」

 前回アテネ大会で優勝したテニスのジュスティーヌ・エナン(Justine Henin、ベルギー)選手もぜんそくを患っており、大気汚染を理由に2007中国オープン(2007 China Open)を欠場した。北京五輪にも出場しないだろうとみられている。

 だが、国営メディアから良からぬニュースを耳にすることのない中国の人々は、そうした事情を知らされることはない。(c)AFP


http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2347087/2600334